光合成蒸散リアルタイム計測

Photosynthesis

光合成蒸散リアルタイム計測

光合成蒸散リアルタイム計測では植物個体群の光合成と蒸散速度をリアルタイムで実測できます。

昼間の環境制御の主な目的である純光合成の最大化の検証や、栽培している植物の光-光合成曲線を得ることができる他、 クロロフィル蛍光計測などと併用することで、葉、茎、果実など主要器官への光合成産物の分配状況を把握することが可能です。

本システムにより効率的な施肥・施用の実施や収穫時期の予測への応用が考えられます。

光合成蒸散リアルタイム計測のイメージ図

光合成蒸散リアルタイム計測チャンバを使用した計測のイメージ図(概略図)

リアルタイム計測を行っている写真

チャンバ内外の空気を切り替えてサンプリングし、光合成速度・蒸散速度等を計測します。

チャンバ設置イメージ

リアルタイム計測を行っている写真

実際にチャンバを設置してリアルタイム計測を行ってる写真

リアルタイム計測を行っている写真

温室内に光合成蒸散リアルタイム計測チャンバを設置した際のイメージ(概略図)

計測データ

リアルタイム計測を行っている写真

計測したデータをインターネット上でリアルタイムに確認することが出来ます

光合成速度について
植物が1秒間に吸収する二酸化炭素(CO2)の量を表しています。
日射などの環境情報と組み合わせて解析することで、光合成が適切に行われているかを評価することができます。
蒸散速度について
植物が1秒間に空気中に放出する水[水蒸気](H2O)の量を表しています。
根から吸収される水の量よりも,蒸散によって植物が放出する水の量が多くなりすぎると,“しおれ”が生じます。
そのため,蒸散速度に基づいて適切に水やりを行う必要があります。
総コンダクタンスについて
光合成や蒸散では,“気孔”とよばれる葉の表面に分布する“小さな孔(あな)”を通じて二酸化炭素や水[水蒸気]が出入りします。
気孔が閉じるとこの出入りが妨げられることになるので,光合成速度や蒸散速度が低下します。
総コンダクタンスは,気孔が開くと大きくなり,気孔が閉じると小さくなります。
なお,総コンダクタンスは,葉の表面に存在する境界層(空気のよどみ)の影響も受けますが,チャンバー内の気流はほぼ一定なので,この影響は終日一定であると仮定しています。

よくあるご質問 (FAQ)

Q1: 植物の呼吸における気孔の動きはどのように反応しますか?
A1: 呼吸が気孔に大きな影響を与えるとは考えにくいです。
Q2: 理想は、常に光合成をしている方がよいと考え、気孔が開き続けた状態がいいと考えていいのでしょうか?常に動き続けることがよいと考えるべきでしょうか?休憩は必要ではないのでしょうか?
A2: 光合成を連続的(数時間のレベル)にすることで何らかの問題が生じるとは考えにくいです。休憩は必要ないと思います。
人間で言えば、「常に心臓が動いていて大丈夫か。休憩は必要ないのか」といった感じでしょうか。
気孔が開き続けていても十分に水を吸収できていれば(水ストレスがかからなければ)、問題は無いと考えます。
Q3: チャンバー等の機械を、産地として必要かどうかの判断基準はどのように考えればよいのでしょうか?
A3: 基本的には生産者が情報として利用したいと思うか否かだと思います。
時間分解能は技術導入においてひとつの指標となり得ます。
1週間-1日-1時間-10分・・のどのレベルで植物の生育状態を知りたい(・・・知った上で栽培や経営に活かせることが前提です)のかを検討して頂ければと思います。
チャンバーは10分間隔で光合成・蒸散・気孔開閉の情報を提供します。 光合成をするべきときに、するべき量を行っているのかを確認することができます。
Q4: 光合成速度、蒸散速度でこのくらいを目指すべき等の理想値はあるのでしょうか?
A4: 作物や季節によって異なりますし、CO2施用の有無(CO2濃度)や湿度環境(飽差)によっても異なります。
重要な点は、気孔を閉じさせないことだと思います。
Q5: 測定機器を導入して、栽培管理の仕方がどのように変わったかを教えてください。
A5: 午後の乾燥ストレスによる光合成速度の低下を検知し、ストレス回避のための遮光などを行うことができます。
Q6: トマトだけでなく、ナスでのチャンバーのデータはありませんか?
A6: 現状では、トマトだけですが、2017年中にイチゴの計測に適用する予定です。
Q7: 光合成速度の計測において、米ライカ社のLI-6400等と同様の測定精度を達成できるのでしょうか?

A7: 使用しているCO2センサ自体の絶対精度は米ライカ社のLI-6400に大きく及びません。
この点では、LI-6400同様の測定精度は達成しているとは言えません。

ただし、弊社システム(以降、光合成計測チャンバ)は、計測対象とする植物体の部位がLI-6400と大きく異なっています。
LI-6400が主に個葉(または、シロイヌナズナなどの実験用超小型植物体)を計測対象としているのに対し、弊社光合成計測チャンバは、 葉層の高さが3mに達するようなトマト等の大型植物体(農業生産現場で栽培されている状態のフルサイズ植物体)の複数株を計測対象としております。

つまり、LI-6400の計測対象葉面積は6 cm2(LI-6800は9 cm2)ですが、 弊社光合成計測チャンバはトマト2個体で約2 m2(20,000 cm2)の葉面積を計測対象とします。
全ての葉が同様に光合成を行うと仮定すれば、CO2濃度差検出精度が0.1ppm であるLI-6400と同等の精度での光合成計測を行う場合、 弊社光合成計測チャンバは、計測対象葉面積のスケールアップに比例して約200〜 ppmの精度で計測すればよいことになります。
弊社光合成計測チャンバのCO2濃度差検出能力は約2 ppmですので、この点ではLI-6400よりも高精度での光合成速度計測ができていることになります。

なお、弊社光合成計測チャンバにLI-6400のセンサを装着して比較計測を行いましたが、同様の光合成速度計測が行えることを確認しております。

Q8: 施設内の植物個体1個体のみの光合成速度を測定することで、施設内全体の環境評価を行うということなのでしょうか?
それとも、複数の植物個体を計測されるのでしょうか?

A8: 光合成速度(蒸散速度)の経時変化は、個体群全体が同様のトレンドで変化することを前提として、植物工場の環境制御が行われています。

光合成計測チャンバは、数株(最小は2個体)の光合成速度の経時変化(5分間隔で計測)をモニタリングしますが、 たとえ2個体を対象とした計測であっても、その「光合成速度の変化のトレンド」は個体群全体でも同様である (2個体の光合成が増大傾向であれば、個体群全体の光合成も増大傾向である)と考えます。

Q9: 総コンダクタンスとは、どのように理解したらよろしいのでしょうか。 一般的に、気孔コンダクタンスですと、気孔の抵抗、開度を指し示すものと理解しますが、 総コンダクタンスとは、どんなパラメーターなのでしょうか。

A9: 総コンダクタンスは境界層コンダクタンスと気孔コンダクタンスで構成されます。 光合成計測チャンバーの気流は一定ですので、境界層コンダクタンスは一定であると考えます。

そのため、「総コンダクタンスの変化」は「気孔コンダクタンス(≒気孔の開度)の変化」ととらえて問題ないかと存じます。

私たちの事業についてご関心をお持ちの方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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